あなたはシマノ派?ダイワ派?
釣り人にとって永遠のテーマとなるであろう、究極の選択。「やっぱリールはシマノでしょ」「デザインがカッコいいから絶対ダイワ!」「シマノのロッドは硬すぎるんだよ~やっぱダイワでしょ」等々、巷では色々な事が言われておりますが・・・結局どっちがいいのよ!?
イチ釣り人として両社を見た場合、ロッドなのかリールなのか、はたまた釣りモノによって評価は大きく変わると思います。
しかし今回はちょっと趣向を変えて、2社がどういう会社なのか、客観的な視点から証券会社的に考えてみようと思います。
休日はただのに釣り好きマンなBaaataですが、平日は実は証券マンなんです。
あまり金融業界に触れたことがない方でも分かりやすいよう、釣り仲間に話のネタとしてドヤ顔できるような内容を書いていきますので、どうぞお付き合いください!笑
目次
- 証券会社的に考えるってどういうこと?
- シマノってどんな会社?
- 実は自転車部品が主力事業だった!
- 日本の釣具事業は、シマノのごく一部分
証券会社的に考えるってどういうこと?
一般的に証券会社というと、株や債券などを売る営業マンのイメージがあると思います。私の働く部署はその部署とはちょっと違いますが、会社的に最も注目するのは企業の株価です。
足元の株価がなぜ下がってる、または上がっているのか、そして将来どうなるか?が一番の関心ごとにであり、(クライアント含めた)収益の源泉となります。
では、株価はどういう要因で増減するのでしょうか?
基本的には、株価は買いたい人が多ければ上がりますし、売りたい人が多ければ下がります。では売り買いする人(=投資家)はどの様に売り買いの判断するかというと、「ファンダメンタルズ」と「テクニカルズ」の二つの要因に左右されると言われてます。
「ファンダメンタルズ」とは、企業が本質的に稼ぐ力があるかどうか、成長する能力があるかどうかを指します。企業の「チカラ」そのものとも言えるでしょうか。
具体的には、どういう会社で、どういう事業を展開しており、どの様に収益を得ているのか?そして今後の成長余力があるのか?といった点が主なポイントとなります。
釣り人で例えるならば、「体力もあるし装備もバッチリ!釣り場情報もよく知っていて効率良く毎回大漁!最近は中々釣れないシーバス事業から撤退しサビキ事業に注力する事で更に釣果アップ!」みたいな感じ・・?笑。
そんな釣り人(会社)の株は、今後も収益を上げるだろう、成長するだろうと投資家から評価され、買いたい人が増えて株価が上がるわけです。
一方、「テクニカルズ」とは、その企業とは関係なく投資家の心理や需給による要素です。
「会社のことよく分からんけど、株価傾向を見ると上がりそうだからとりあえず買っとこう!えい!」みたいな買い方がこれに該当します。(正確にはもっと詳しい分析や理論が沢山あります笑。)
「テクニカルズ」分析はどちらかと言うと、どういうタイプの投資家か?投資家心理とは?といったことが主体となる為、会社自体についてはあまり語られません。
今回はこの「ファンダメンタルズ」の観点から、2社がどういう会社かを分析し、良し悪しを見ていきたいと思います。
シマノってどんな会社?
- 創業1921年、本社: 大阪府堺市
- 時価総額: 約1兆4,000億円(東証一部)
- 2017年12月期売上高: 3,358億円、営業利益: 644億円(利益率: 19.1%)
元々シマノは1921年に堺市に「島野鐵工所」として自転車のホイールの生産として始まった会社です。そこから約50年後、1970年に釣具事業を立ち上げ、スピニングリールの発明を開始。また名前の通り、経営者は創業家の島野一族が歴代社長を務めています。
堺市といえば、世界のシャープの本社があることで有名ですね。かつて室町時代には「東洋のヴェニス」と呼ばれ貿易が盛んだったと同時に、鉄砲鍛冶で有名だった町です。鉄砲から受け継がれた製鉄技術がこのシマノの源泉なのかもしれませんね。
また時価総額は約1兆4,000億円。時価総額とは、会社の価値のことで、株価に会社が発行している株数を掛けることで計算されます。
言ってしまえば、いくらでその会社が買えるかということを示しています。つまり約1兆4,000億円あれば、名機ステラからホリデー磯の在庫まで含めてシマノという会社が丸々手に入ることになります笑。
この1兆4,000億円という数字は、金額として途方も無い額ですが、果たしてどれぐらい凄いのでしょうか?
Yahoo!ファイナンスの時価総額ランキングを見ると、シマノは日本の全上場会社約3,700社中104位にランクイン。なんとトップ3%以内に入っています。
また1兆4-5,000億円クラスの会社で有名どころを見てみると、全日空、日本航空、電通等が挙げられます(2018年5月31日時点)。
いつも我々が使っているリールは、なんと日本の航空業のトップと同じ規模の会社が作っているのです!日本を代表する一流企業と言っても言い過ぎではないでしょう。
・・・でも、いくらシマノが日本を代表する釣具メーカーで、ステラが素晴らしいリールだと言われてるとしても、シマノという会社がそんなに凄いというのはピンとこないですよね?
その秘密は、彼らの事業構成にあります。
実は自転車部品が主力事業だった!
上のグラフを見ると、なんと釣具は売上高全体の約20%も満たず、創業事業である自転車部品が殆どを占めます。(出所: 会社開示資料)
この自転車部品がとっても凄い。SMBC日興証券の試算によれば、スポーツ用自転車部品の世界約85%の市場シェアを占めています。またスポーツ向けだけでなく、変速機付きの自転車部品においては世界約80%の市場シェア。(参考: 東洋経済)
つまりは、堤防にいるおっちゃんの自転車からツール・ド・フランスのプロ選手に至るまで、ほぼシマノ製品を使っていると考えてもよいでしょう。
ちなみにこのDura-Aceという競技用自転車向けコンポーネントは、なんとセットで40万円以上しますが(!)、ツール・ド・フランス2017に出場するチーム22組中17組が使用したそうです。(参考: シクロワイアード)
パソコンの基幹部品であるチップと自転車の心臓となるコンポーネントをなぞらえて、シマノは「自転車部品のインテル」とも呼ばれています。
日本の釣具事業は、シマノのごく一部分
地域別の売上高構成を見てみると、以下の通り日本以外が約90%を占め、日本企業の中でも稀有な存在です。世界で活躍する会社だということがわかります。(出所: 会社開示資料)
一般的に消費者向け産業の成長性は国の人口動態に基づいていており、少子高齢化や人口減少が騒がれている日本は、残念ながら市場として成長性が低いと言われることが多いです。
その中で海外向け売上高が多いという事は、海外での成長を取り込むことができると考えられ、投資家の観点からは評価される傾向にあります。(もちろん裏側には為替リスクが存在しますが)
シマノは釣具も海外に販売しています。正確な釣具の日本/海外比率は開示されていないませんが、自転車と釣具において同率と仮定した場合、我々日本人が普段釣具を通して見ているシマノは、全体の約2%にしか過ぎません(釣具売上構成比20%×日本比率10%)。
釣具でプレゼンスの高いシマノが実はANAやJALと同じ規模だ、と言われてピンとこないのはこれが原因だったのです。
まとめ
- シマノの本業は自転車部品事業であり、日本を代表する超大手企業。「自転車部品におけるインテル」
- 海外売上割合が約90%を占め、もはや海外企業
- 釣具事業は全体から見ると割合が低く、日本の釣具事業からは全体が推し量れない程デカい!
私は普段釣具でしか見ていないシマノですが、実は想像を絶する超優良グローバル企業なのでした。大阪・堺で生まれた会社が作る部品が世界中の自転車に搭載されている、っていうの1日本人として燃えるものがあります笑。
次回はライバル・ダイワを見ていきたいと思います。
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2件のコメント
シマノ、ダイワという会社。証券会社マンが分析してみた【その➁】 | タチクサ · 2019年4月3日 7:01 AM
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【ちょっとした疑問に答える】ダイワとシマノ、どちらが売れている?【釣り編】 - 釣りとバイクが趣味なんだ。 · 2019年4月26日 10:51 AM
[…] ※参考サイト ・ダイワ vs シマノ 釣具業界No.1決定戦 ・ダイワとシマノどっちが好き? ・シマノ、ダイワという会社。証券会社マンが分析してみた […]